過度な早寝早起きに注意

年齢とともに早寝早起きになることはよく知られている。中高年に「若い時よりも早寝早起きになったか」と聞けば7割以上の人は「イエス」と答えるという。特に60歳以上のいわゆるリタイア世代になるとその割合はさらに増加するそうだ。
高齢者の早寝早起き自体が悪いわけではないそうだが、過度の早寝早起きとなると問題だ。
あまりにも早い時間帯から寝落ちすると一般的に睡眠の質は低下するそうだ。ホルモンや自律神経など眠りを支える心身の機能がしっかりと準備が調っていないとだめだという。いくつかの研究によれば、健康な70代の体内時計は若者と比較しても高々1時間程度しか進んでいないため、夜10時前は多くの高齢者にとって寝るには早すぎる時間なのだそうだ。
年齢とともに進行する「早寝」と「早起き」だが、実はこの両者が同時に起こることは少ないという。多くの人出はちょっとした早朝覚醒から始まるそうだ。
早朝覚醒が起こる原因はさまざまだが、最大の原因は加齢とともに必要睡眠量が減少することにあるという。また、睡眠の中でも特に深い睡眠が減るため、物音や寒さ、尿意などちょっとした刺激で目が覚めてしまうそうだ。
しかし早起きをしてもそれだけで早寝になるわけではない。早起きに引き続いて早寝が始まる大きな原因が過剰な「朝日」だという。
早く目覚めるとおのずとその日の活動の開始時刻も早くなる。特にリタイア後は出勤の必要がないので、のんびり朝日を謳歌するようになる。暖かい季節ともなれば朝5時台から散歩や体操、庭仕事などにいそしむ老人をよく見かけるが、この時に浴びる早朝の太陽光が早寝を引き起こすのだそうだ。
体内時計は光で調節されている。大部分の人では体内時計の周期は24時間ジャストでないため、太陽光のような強い光で毎日時刻合わせをする必要があるという。ただし、光を浴びる時刻によって体内時計の針を進めたり、戻したり、全く逆の作用を発揮するので注意が必要とのこと。
高齢者は早朝覚醒のため、体内時計を朝型に傾ける光を多く浴びるようになる。すると早い時間帯から眠気が生じるようになり、夕食が済んでしばらくすると横になりたくなる。夜の光を浴びる機会も少なくなるため、早寝早起きが加速してしまうのだ。
また、リタイア後は体力的な低下もあるが「起きていてもやることがない」「TVも映画もおもしろくない」と早々と布団に入る人も少なくない。このような「消極的な早寝」は睡眠満足感を大きく損なってしまう。睡眠満足感が乏しいと不眠症につながることもあるという。不眠症を防ぐには意識的に遅寝をする、朝型シフトを防止するなどの対策が必要だという。
早寝早起きにはこのようなからくりがあったとは…。